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はじめに
最も重篤な脳器質障害で昏睡と区別される状態としてKretschmerの失外套症状群(Das apallisches Syndrom13))やCairnsの無動性無言症(akinetic mutism1))と呼ばれる状態がある。その状態像における概念についてはなお問題があるが,昏睡など一般の意識障害と区別される点は共通して"睡眠・覚醒機能が保たれている"という点である。そこでわれわれは,これらの重篤な患者をはじめさまざまな脳器質患者の睡眠・覚醒をポリグラフ的に研究することによって睡眠の発生機序の解明に何か資料を提供することになりはしないか,あるいは診断や治療や予後判定に役立ちはしないかと考えた3〜11)。その結果,これら脳器質障害患者の睡眠特性や臨床的意義について若干の所見を得た。その数は138例にもなった。しかし,症例が増えれば増えるだけ,さらに問題は複雑になり,不明な点も増えることも事実である。ここでは,脳器質障害患者の睡眠特性と唾眠周期についての考察を試みる。
The nocturnal sleep of 104 patients with brain damages was examined by polygraphical methods. Some characteristic findings were as follows: shortening of sleeping hours, interruption of the sleep disappearance of hump and spindle waves and the deep sleep, simplification of sleep EEG patterns and sleep cycles, changes in REM sleepphase, appearance of abnormal sleep EEG and discordance of bodily signs in sleep with EEG.
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