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特集 小脳
ニューロンと行動—無麻酔正常動物における単位活動の記録
Neuron and behavior: The recording of a single neuronal discharges in intact unanesthetized animal
真野 範一
1
Nori-ichi MANO
1
1東京都神経科学総合研究所神経生理学研究室
1Department of Neurophysiology, Tokyo Metropolitan Institute for Neurosciences
pp.880-891
発行日 1973年10月10日
Published Date 1973/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431903549
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I.はじめに
生物の行動を統御しているのは中枢神経系のニューロン活動であることはいまさら論ずるまでもないところであろう。いかなるニューロン活動がいかなる行動をいかに統御しているかを知ることが,神経系の研究の最終目標といっても過言ではない。しかし,複雑をきわめる中枢神経系の中のある単位ニューロン活動をいきなり生休の複雑な行動と対応させても得るところはきわめて少ないであろう。その二つの現象の間に横たわるギャップはあまりに大きく,因果関係ないしは相関関係を論ずることが非常に困難だからである。麻酔動物または除脳,離断脳あるいは筋弛緩剤を用いて無動化した実験標本を用いての従来の研究法はこのギャップを埋めるのに非常に有効な研究法であり,その成果は高く評価されるべきである。たとえば,この特集に選ばれた"小脳"は,過去十数年間の微小電極法や電子顕微鏡学の進歩によって,回路網,ニューロンの性質など中枢神経系のなかで最も詳しく解明された部分の一つとなっている15,56)。しかし,この"小脳"においてもInput-Integration-Outputという観点からすると,ニューロンの回路網に限ってみても,その一部が解明されたにすぎず今後に残された問題は多い。ではニューロンの数が少なく回路網の比較的単純な下等動物を実験材料としてニューロン活動と行動の因果関係を解析しようと考えるのは自然の帰結であろう。
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