Japanese
English
特集 神経系の加齢
総論—臨床の立場から
General consideration: Clinical aspects
吉川 政己
1
,
森松 光紀
1
Masaki YOSHIKAWA
1
,
Mitsunori MORIMATSU
1
1東京大学医学部老人科
1Department of Geriatrics, Faculty of Medicine, University of Tokyo
pp.630-635
発行日 1973年8月10日
Published Date 1973/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431903527
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I.はじめに
神経系の加齢現象に対する臨床的観察法には次の三つの視点が考えられる。1)臨床生理学的研究による加齢現象の分析(これによって生理的加齢についてある程度の知識がえられる),2)一般老年者にみられる神経症状の分析(健康老年者の症状は生理的加齢と疾想状態との境界的な意義をもつと考えられる),3)中年期以後に多い神経疾患の分析(初老期・老年期疾患のなかには生理的加齢の促進状態とみなしうるものがあるかもしれない)。今回の説明はこれらの観点に基づいたが,加齢の本態を明らかにするには現在なお知識が乏しく,多くは現象の記述とその原因の推測とにとどまらざるをえなかった。
なお神経系における血管系の役割は大きく,神経固有の加齢現象と脳血管系加齢の影響とを臨床的に分離しえないことも多い。しかし本来両者は異なるものであるから,以下の記述では,つとめて神経固有の加齢変化を他の要因から区別しようと試みた。神経系加齢の発現としては他に情動・知能変化のような精神現象も重要であるが,今回はとりあげなかった。
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