Japanese
English
特集 慢性進行性神経疾患・1
ウイルス
亜急性アデノウイルス限局性脳炎
Subacute adenovirus focal encephalitis
周 烒明
1
Shi-Ming Chou
1
1Departments of Pathology(Neuropathology)and Neurology, School of Medicine, West Virginia University
pp.829-840
発行日 1972年10月10日
Published Date 1972/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431903433
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I.はじめに
Adenovirusは,ありふれた病原体で,人間の呼吸器と眼の感染症をひきおこす1)が,中枢神経系における感染は,世界各地で散発的に報告されている2〜17)。これらの報告は,主に乳幼児例であり,脳髄膜炎を伴っている。一般に,経過は良好で,後遺症は残さない。しかし,死亡例もまれにみられる。多くは,補体結合反応,または,尿からのウイルスの分離によって診断されている。しかし,adenovirus 2,3,5,6,7型では,髄液,または脳より分離されているものもある。詳細な病理学的報告は,ほとんどない。著者は,成人のadenovirus脳炎を経験し,電顕と免疫螢光抗体法により,まず病原を推定し,さらにウイルス分離とその型の判定ができて,病理学的に詳細な報告をした18)が,その臨床,病理所見を紹介し,免疫抑制を伴う網内系の腫瘍性疾患(白血病,ホジキン病,リンパ肉腫など)における中枢神経系のウイルス感染について考察したい。このような例は,すでにPML(progressive multifocal leukoencephalopathy),Varicella-zoster脳脊髄炎25〜30)でみられている。
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