Japanese
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特集 脳の奇形と発生
視覚径路の先天性異常例の考察—眼杯柄の発生学的意義・1
Anatomical considerations of congenital malformations of the visual system. 1. Embryological significance of the optic stalk
酒井 恒
1
Hisashi SAKAI
1
1金沢大学医学部解剖学教室
1Department of Anatomy, School of Medicine, Kanazawa University
pp.302-309
発行日 1972年4月10日
Published Date 1972/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431903380
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視神経完全欠損はまれにみられる奇形であり,臨床報告例はいくつかみられるが1-13),解剖学的報告は少ない14-22)。視神経部分的欠損についてはかなり多くの報告がみられ,それらの発生学的考察はMann23),その他により19,22,24,25)詳細に論ぜられているが,その多くは胎生眼裂の閉鎖不全をその原因と考えている。しかし,視神経を完全に欠損するにもかかわらず,眼胞,あるいは網膜の神経線維層が存在する例,すなわち,脳との連絡が全く存在せず,しかも眼胞,ないしは眼球が独立して存在する例の眼胞柄,ないしは眼杯柄の発生学的運命についての説明は不十分である。この点に関してZeemanら20)のみがいささか触れているが,視神経線維が眼杯柄に進入しないことを述べているに過ぎない。
そこで,本編では,視神経と眼杯柄との発生学的相互関係,すなわち,眼杯柄の発生学的意義について述べる。
The embryological significance of the optic stalk has been studied in the cases of the congenital aplasia of the optic nerve using the serial sections of heads of adult rats as well as of chick embryos, which were stained by several histologic techniques (KLUVER-BARRERA, NISSL, BODIAN and hematoxylin eosin techniques).
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