Japanese
English
展望
欧米における原因不明の散在性腦炎について
Sporadic Encephalitis in the Western Countries.
山本 達也
1
T. Yamamoto
1
1東大神経科
1Dep't. of Neuro psychiatry, University of Tokyo
pp.542-546
発行日 1958年2月28日
Published Date 1958/2/28
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431901623
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近年欧洲では流行の形をとつた脳炎は終息し,単に散在性にだけみられる脳炎があるにすぎない。この数少い脳炎は,臨床的および病理組織学的関心を引いていて,学会や文献の上でその原因,病理発生,あるいは散発性脳炎の分類などが,一つの中心課題としてしばしばとりあげうれているようにみうけられる。その一つはparainfektiöse EncephalomyelitisとPoliomyelitisの際の脳炎とであり,他は現在でも病因が不明で,また疾患論の上でもまだ一致した結論を得るに至らない脳炎の一群である。わが国では戦後のみならず最近でも毎年夏には日本脳炎患者がかなり多数発生し,その病理組織学的検討も行われた反面,原因の不明とこれる脳炎については時折学会などで報告されるに止り,いまだ一般的関心を喚起すうまでに至つていない。したがつて欧洲における原因不明の脳炎についての代表的論議の概観を試みることは,今後われわれの脳炎研究ことつて役立つ所が少くないと思う。
問題の脳炎についての分類は,人によつて様々であるが,Krücke1)によると従来は次のようであつた。
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