Japanese
English
脳の生理に関するシンポジウム 脳の外科を中心に
側頭葉と精神運動発作
Psychomotor Epilepsy and the Temporal Lobe
佐野 圭司
1
Keiji Sano
1
1東大脳神経外科脳研究所
1Dep't. of Neurosurgery, Univ. of Tokyo & Institute of Brain Research
pp.65-74
発行日 1957年4月1日
Published Date 1957/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431901570
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近時薬物療法の目覚ましい進歩によつて,テンカン治療にはまず一応薬を使つて見るのが常石となつている。しかるにテンカンの各型のうちでひとり精神運動発作はしばしば薬物療法に抵抗し,一時ひろく用いられたPhenuroneのごときもまつたく有効というわけには行かないのと,多少の毒性があるのとのために次第に捨てられつつある現状である。一方Gibbs,Jasper,Gastaut等の電気生理学的研究によりこの発作の焦点focusが側頭葉に位置づけられ,それにもとついてBailey,Penfieldその他により側頭葉切除術が行われ,現在のところ側頭葉に対する侵襲はこの発作のもつとも有力な治療法のひとつとなつている。しかしながら各研究者の間に焦点の所在したがって切除の部位,範囲等に関して意見の一致を見ず,ひいては精神運動発作の概念そのものまでその根底を危くされており,問題の早急な解決―すなわち(1)精神運動発作なるものの概念の確立,整理,再分類(2)かくして明かにされた臨床発作型と病理学的,電気生理学的所見との対応(3)手術の適応,侵襲を加えるべき,部位,範囲の決定(4)手術後の諸症状の検討―が焦眉の急となつて来た。
われわれは1952年以来100例に余る精神運動発作患者につき臨床的,電気生理学的その他の諸研究を行つており,その一部はすでに種々の機会に発表して来た。
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