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アカゲザルの多重な聴覚皮質における機能分化と階層的な体制について,いろいろなタイプの複合音を使って調べた。上側頭回外側ベルト領域のニューロンは帯域雑音の群発刺激に対して最適の中心周波数と最適の帯域幅にピークを持つ選択的な反応を示した。この領域のニューロンはまた周波数変調をかけたFM掃引の変調の速さと方向に選択性を示した。多くのニューロンが限られた数の種特異的なコミュニケーション音(サルの鳴き声)に選択的な反応を示した。
このような反応選択性は非線型の音のスペクトル的,時間的な統合メカニズムで説明できる。別の一連の実験ではサルの鳴き声を異なる空間的位置から発して,外側ベルトニューロンのサルの鳴き声と空間的な位置に対する選択性を同時に調べた。外側ベルトは三つの領域に分かれるが,そのうち前外側野(AL)がサルの鳴き声に対してもっとも高い特異性を示す。一方,後外側野(CL)ニューロンは空間的選択性がもっとも高い。
霊長類の大脳皮質の聴覚系は少なくとも二つの系統に分かれる。一方は空間的聴覚経路で上側頭回の後部に起源があり,頭頂葉に投射する。もう一方は音のパターン認識または対象認知の経路で外側ベルトのより前方の部分に起源を持つ。ヒトの聴覚皮質にも同様の分業体制があることが機能的脳画像法(ニューロ・イメージング)の方法で明らかになった。
The functional specialization and hierarchical organization of multiple areas in rhesus monkey auditory cortex were examined with various types of complex sounds. Neurons in the lateral belt areas of the superior temporal gyrus were tuned to the best center frequency and bandwidth of band-passed noise bursts. They were also selective for the rate and direction of linear frequency modulated sweeps. Many neurons showed a preference for a limited number of species-specific vocalizations (“monkey calls”). These response selectivities can be explained by nonlinear spectral and temporal integration mechanisms.
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