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皮質聴覚野には幾つもの領野があり,それぞれの領野には末梢のニューロンとは違った応答を示すニューロンがある。複雑なニューロンの応答特性はどのようにして形成されるのか,それぞれの領野にある,たとえば,周波数表現の詳細はどのようにして決まるのか,この疑問に対する解答の一部が皮質遠心系の研究から得られつつある。聴覚系には上行系と下行系(皮質遠心系)がある。皮質遠心系の主な機能の一つは,皮質下の神経核における聴覚情報処理の調節と改善,すなわち,皮質ニューロンへの入力の調節と改善である。皮質遠心系は,同じ音信号が動物に対して繰り返し与えられると,下丘,内側膝状体,および聴覚野に小規模ではあるが,音信号を特徴づけている変数,たとえば,周波数に特異的な短期的再組織化(可塑性)を引き起こす。そのような音信号が条件づけ(連合学習)によって動物の行動に関連づけられると,短期的再組織化が増強される。聴覚野では増強された再組織化が長期化する。再組織化には二通りある。繰り返し興奮した皮質ニューロンの,たとえば,最適周波数へ向ってまわりの皮質および皮質下のニューロンの最適周波数が移動する“求心性移動”と逆方向に移動する“遠心性移動”である。動物は音の意味を学習によって獲得する。人間の幼児もまた,学習によって言語を獲得する。したがって,皮質遠心系は,行動上意味のある音を処理したり,音の行動上の重要性に応じて聴覚野を再組織化したりする上で,とくに重要な役割を果たしている。
In the auditory cortex, there are many areas and neurons which are quite different in response properties from those of peripheral auditory neurons. How are complex response properties of cortical neurons formed ? How is the detail of the cochleotopic (frequency) map in each cortical area determined ? Part of the answers to these questions appears to be obtained from the research of the function of the corticofugal system. The auditory system consists of the ascending and descending (corticofugal) systems.
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