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はじめに
脳卒中は,癌,心疾患とともに我が国の三大死因の一つであり,「傷病別入院受療率」では対10万人あたり約170人で,心疾患の3倍を越え,日本の国民病となっている。また介護の面から見ても,寝たきり高齢者の大半は脳卒中が主原因となっており,大きな社会問題となっている。そのため,近年神経科学・神経内科・脳神経外科・リハビリテーションに従事する医師や研究者が協同して治療,研究を行う「脳卒中学」“strokology”の確立が重要視されてきた。脳卒中の病態も,食生活・生活様式の変化から,その原因も変化しており,最近の疫学的検討では,60%が脳梗塞,30%が脳出血,10%がくも膜下出血と,脳梗塞が増加しつつある12)。脳梗塞,すなわち虚血性脳血管障害の特徴は,1回の卒中発作による致命率は比較的低く,数回の発作を経て徐々にADL低下から死に至ることが多いことであり,予防・治療・リハビリテーション・介護に多くの人的,経済的医療資源を費やされる一方,複数の虚血発作の間には予防と治療が可能な時期があるため,strokologyのさらなる発展により,患者さん本人のみではなく,家族・医療保険者・地方自治体,ひいては国民全体の負担が軽減される可能性がある。本稿では,虚血性脳血管性障害の外科的予防・治療上問題となる「頭蓋内動脈の血行再建で虚血脳病変の可逆性・可塑性が得られるか?」の疑問に答えるために,自験例を中心に考察する。
Both international and Japanese studies have failed to prove the positive effects of EC-IC bypass surgery for stroke prevention. However, those studies had defects such as a lack of strict diagnosis that pure hemodynamic ischemia or embolism, incorrect randomization, or frequent perioperative complication. Therefore, we are forced to re-evaluate the role of bypass surgery for stroke prevention of these patients. Furthermore, it is still an enigma that the brain under the condition of chronic hemodynamic compromise has plasticity or reversibility.
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