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はじめに
ゲノムの中で3塩基の繰り返し配列(triplet repeat)が延長することで疾患が発症するものをトリプレットリピート病(triplet repeat disease)といい,この10年間にこの範疇に入る14種類の疾患が見出されている。トリプレットリピート病はその繰り返し配列によりCAG,CTG,CGG,CCG,GAAリピート病などと分類されているが,この配列によりそれぞれ疾患の発症機序およびその臨床症状が異なっている。この中でCAGリピート病はこれまでに10種類以上が見つかっていてもっとも数が多いが,この疾患では(CAG)n配列はすべてエクソン内に存在しておりmRNAに転写されてポリグルタミン鎖に翻訳される。最近の研究ではこのポリグルタミン鎖が神経細胞内に封入体を形成したり,アポトーシスを誘導したりすることが病因になっていると考えられている2)。
一方,CTGリピート病としては筋強直性(緊張性)ジストロフィー(DM)と脊髄小脳失調症8型(SCA8)の2種類が見つかっている。これらの疾患では(CTG)n配列は3'の非翻訳領域に位置しており,(CUG)nを含むmRNAには転写されるが,蛋白質には翻訳されない。しかしながらこれがどのようにDM発症にかかわってくるのか詳細な点は不明のままである。
Expansion of unstable CTG triplet repeats within myotonic dystrophy protein kinase (DMPK) gene has been believed to be responsible for myotonic dystrophy (DM). However, mechanism by which such expansion induces the disease has not been elucidated. In patients with DM, low expression of total DMPK and equal expression of each allele were confirmed. Based on the study with FISH technique for myoblast cell and fibroblast cell, congestion of mRNA transportation from nucleocytoplasmic transport at nuclear membrane is suggested to cause these phenomena.
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