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はじめに
多細胞動物では細胞間の情報交換によって,お互いの細胞が連絡して行動し,個体を維持している。細胞間のシグナルは,おのおのの細胞の部位と役割を決め,その結果,個体の発育と維持の調節を行う。細胞間の連絡の方法は,大きく分けて,細胞の分泌する分子による場合と膜蛋白による場合がある。分泌されるシグナル分子については,すでに多数のものが,それぞれホルモン,伝達物質,活性因子などとして,同定され,研究が進展している。これらの分子群はエキソサイトーシスによって,細胞外に放出される。一方,細胞膜に結合している分子群は,その細胞に接触した細胞とのみ,情報交換が可能となる。標的細胞の反応はレセプター蛋白によるシグナルの受容によって開始する。細胞間の情報伝達において,細胞接着蛋白はシグナル分子およびレセプター分子のいずれか一方または両方の機能を果すことができる。
最近の研究の目覚しい進展によって,神経組織の構築および再構築の過程において,細胞接着蛋白群は特定の時期および部位に発現し,重要な機能を果すことが示されつつある。本槁では,神経組織の細胞接着蛋白群の研究の最近の進歩を概説し,今後の研究の展望を試みる。
Intercellular signals allow each cell to determine its position and a specific role, resulting in regulation of development and maintenance of nervous system. There are two mechanism that animal cells communicate with one another : 1) signaling by secreted molecules and 2) signaling by membrane-bound molecules. Cell adhesion proteins mediate intercellular signalings as membrane-bound molecules. Accumulated evidence indicates that cell adhesion proteins express and function in spatially and temporally defined stages of development or regeneration of the nervous system.
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