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はじめに
ヒトを含む哺乳動物の中枢神経系は,発生過程において生ずる多種類の細胞系列によって構成されている。この多様な細胞系列に属する細胞群がさらに部位特異的なあるいは細胞種特異的な分化を遂げ,これが高次脳機能を担う複雑な神経回路網の形成へと繋がっていくのである。Cajalによるニューロンとグリアの詳細な形態学的記載以来100年の歴史を持つ神経発生学の分野においても,最近になって細胞生物学的あるいは分子生物学的解析法の導入により次々と新たな知見が得られ,これまで未解決であったいくつかの重要な問題についてようやく結論が得られるようになってきた。本稿では中枢神経系を構成する細胞群の細胞系譜の研究について,まずこれまで提唱されてきた学説の歴史的な背景について簡単に触れることで議論を整理し,それをもとに最近の知見によって何が明らかになってきたのか,またさらに新しく何が問題となってきたのかについて筆者の考えを交えながら解説することにしたい。
Controversy has remained unclarified upon ontogenies and cell lineages of neurons and glia for over a century since the great Spanish neurobiologist Ramdn y Cajal and his group succeeded in identifying multiple types of cells in the mammalian central nervous system. However, recent new technologies in molecular and cellular biology have contributed to make a significant progress in understanding how neurons and glia arise in the developing brain.
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