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はじめに
1970年代のX線CTスキャンの実用化によって目ざましい発展を遂げた神経疾患の画像診断において,基底核疾患,とくにその変性疾患は,長い間ほとんど興味の対象となることがなかった。これは,基底核が脳の深部にあって他の構造物との境界が明瞭に画像化できないため,変性によって生じた構造物の萎縮を確実に捉えることが困難であったためである。したがって,側脳室によって境界が比較的鮮明に画像化できる尾状核頭の萎縮所見のみが,辛うじて臨床診断に役立ってきたに過ぎない。しかし,1980年代の終りになり,神経疾患の日常診療において,高磁場MRIが画像診断検査として施行されるのが当たり前となるにつれ,それまで画像診断においては等閑に付されてきた基底核の変性疾患が,一躍多くの研究者の興味の対象となり,数多くの重要な画像所見が記載されるようになった1,2,5-10,28-30,32-35)。この結果,今日では,数多くの基底核疾患の臨床診断において,高磁場MRI所見を欠くことができなくなっている程である。筆者らは,1987年以来,日常臨床の場において,基底核疾患の高磁場MRI所見の観察を重ね,画像診断上の確実な所見の検討と,その臨床的な有用性について検討してきたので14-22),それらの観察から得られた自験例の所見を中心として,ジストニアの臨床診断における高磁場MRIの意義について論じてみたい。
High-field MRI enabled us to clearly visualize the basal ganglionic structures in living brain which have been regarded as the site of lesion in various dystonic disorders. T2-weighted MR images of the lenticular nucleus and mid brain are especially useful to differentiate important structures, such as putamen, globus pallidus, substantia nigra and red nucleus, because of the paramagnetic effect of iron which is abundantly present in these structures.
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