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はじめに
「Sleep and Wakefulness」は睡眠研究の父と言われるN. Kleitmanになる不朽の名著である。書名から窺い知ることができるように,近代的睡眠研究が始まった当初から睡眠と覚醒は切り放すことのできない一連の生命現象として捉えられており,睡眠と覚醒の繰り返し,すなわちその周期性が重要であるとの認識があった。一方,主としてJ. Aschoffを中心とするドイツ・アンデックスグループによって展開されたフリーラン実験により,ヒトの生物時計に関する新知見が次々と発見されていった。そして,睡眠構造がサーカディアンリズムに依存していることが見出されてからは,睡眠研究にとって生物時計の概念と方法論は必要欠くべからざるものとなった。
本章では,まずヒトの生物時計の特徴を把握する目的で,ヒトサーカディアンリズムとリズム同調について解説する。次に睡眠構造とサーカディアンリズムの関係を明らかにし,最後に睡眠覚醒リズムの振動機構に関して現在提唱されているモデルと,その新しい展開を紹介する。
Involvement of biological clock in the occurrence of sleep is now well established in humans. However, the human sleep-wakefulness rhythm shows many different features from that in other mammals. For example, the sleep-wakefulness rhythm is desynchronized from other circadian rhythms such as in rectal temperature and plasma melatonin, and shows a circabidian period (about two days) under free run conditions. Based on these findings, a multi-oscillatory hypothesis has been advanced for the human circadian clock.
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