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はじめに
脳の疾患の画像診断がCTさらにはMRIを中心に行われているように,脊髄疾患の画像診断も同様にMRIを中心になされる時代になってきている。脳の疾患の頭蓋単純X線撮影による診断の意義には,(1)頭蓋内疾患による頭蓋X線写真上の関接的変化,(2)頭蓋の病変によって神経症状を惹起するものの直接的変化,(3)頭蓋外より頭蓋内へ進展する病変の頭蓋の変化を診断することの3点にある。脊髄疾患の単純X線撮影による診断根拠も頭蓋骨を脊椎に変えれば同様にその意義づけをすることができる。脳疾患の診断ではCT出現以後(1)の意義は大きく薄れ,しかも脳疾患においては(2)(3)が原因になるものの頻度は小さい。しかし,脊髄疾患に関しては,変形性脊椎症を主とした脊椎の退行性変化による疾患など脊椎の病変によって症状を呈するものが圧倒的に多く,(2)(3)を根拠とした脊椎の単純X線撮影への要求は,直接的な診断およびこれらを否定するための診断の方法としてMRI出現後も大きいものがある。一方,MRL出現後も,神経根を初めとした脊椎管内構造の微細な診断には脊髄撮影を必要とする場合が多い。以上の観点より,脊髄疾患の診断には今や古典的ともいえるCTを含めた,脊椎のX線撮影および脊髄撮影の必要性は日常の臨床においてなお重要な位置を占めている。本稿では,脊髄液腔およびそれを取り巻く構造のX線解剖について述べる。
Body structures of spine are observed with simple X-ray films involving tomography and CT. Disc spaces, ligaments surrounding body structures or neural foramina are directly or indirectly surveyed with simple X-ray films and CT with or without contrast material. On myelography, spinal subarach-noid space is opacified, and spinal cord and nerve roots are indirectly identified. The normal radiological anatomy is described about simple X-ray film of spine, CT with and without contrast material and myelography.
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