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はじめに
過去20年の間に,時間生物学の領域において,多くの特記すべき研究が行なわれている。とりわけ,哺乳動物の時計の局在の解明と,隔離状況下でのヒトのサーカディアンリズムの特性が明らかにされたことは,画期的なことである。このような基礎研究の成果を背景にして,臨床の場面でも時計機構の異常によると思われる疾患への関心が高まってきた。その代表的なものが睡眠覚醒リズムの異常である。睡眠相が後退しているために社会適応が困難となるもの,あるいは内因性リズムが外界の同調因子に同調できず,通常の社会生活をしているにもかかわらず睡眠覚醒リズムがフリーランしてしまうため不眠が周期的に襲ってくる症例など,その数は決して多くはないが,時計機構の障害に起因する例として挙げることができる。また感情障害では,東西飛行にみられるような内的脱同調というリズム機構の統合不全状態が,その基礎にあることが推察されている。本論文では,まず現在時間生物学という観点から解明を目指している疾患ないしは症候群について解説し,臨床応用を目指した立場からの哺乳動物の時計機構の解析の試みを紹介したい。
Sleep-wake rhythm disorders such as delayed sleep phase syndrome (DSPS) and non-24h sleep wake cycle (non-24h) are considered to be caused by abnormality of the endogenous clock mechanisms. Affec-tive disorders, especially seasonal affective disorder (SAD), are also hypothesized to be closely related to a disturbance of the circadian mechanisms. Several novel methods using bright light or vitamin B 12 are under intensive investigation for the treatment of these disorders. Phototherapy is currently reported to be effective not only in SAD but also in DSPS, non-24h or jet lag syndrome.
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