特集 緩和ケア実践マニュアル Start Up & Beyond PEACE
Part2 治療医が行なう緩和ケア初回面接
早期緩和ケアの初回面接を重荷と感じるとしたら、多分なにか思い違いをしているのかもしれない
春日 武彦
1
1成仁病院
pp.37-41
発行日 2019年4月15日
Published Date 2019/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1430200370
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
早期緩和ケアの実践において、初回面接ではどのように相手にアプローチすべきか—これは一旦迷い出したら医療者にとってかなりの精神的苦痛となりかねない問題だろう。
まずどんな言葉から切り出したらよいのか、どんな表情や態度が適切なのか。そんな当たり前(のはず)のことがわからない。相手が「助かりました、気が楽になりました!」と喜んでくれればめでたいが、もしも微妙な表情を浮かべてしまったらそのアプローチは失敗であったのか。そのあたりも判断がつきにくいし、誰かにスーパーバイズしてもらうのも現実的には難しいだろう。
すなわち、手法そのものに戸惑うだけでなく、自分の行なったことが成功であったのか失敗であったのか、それすらいまひとつはっきりしない。そんな中途半端な状態を繰り返すのは、「しんどい」と感じて当然だろう。
本稿では精神科医の立場からその「しんどさ」について私見を述べてみたい。なお筆者は大学病院で6年間の産婦人科医の経験があり、また精神科医になってからはリエゾンの経験がある。そうした体験を踏まえて筆を進めていきたい。
Copyright © 2019, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.