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人生を診るのがrheumatologistです。膠原病関連疾患の多くは、高血圧症や気管支喘息のように一生お付き合いする疾患になります。外来でお会いする時間は長期になり、たとえば、若い女性の患者さんであれば結婚、妊娠・出産、職場復帰などのライフイベントを共に経験することになります。昭和の過去のカルテを見直していると、「膠原病だから結婚できない、出産してはいけないと言われた」という悲しい記録を目にすることもあります。しかし、時代は平成も越えて令和です。早期診断・早期加療が可能となり、治療薬の選択肢も増えています。「rheumatologistは患者さんを治療して半人前、寛解した患者さんが出産したら一人前」ということばを耳にするようになるほど、膠原病と診断されても“普通の人生”を送ることができるようになっています。そのため、rheumatologistの診療は“do処方”(前回と同じ処方)を続けるのではなく、疾患活動性、患者さんの環境やライフステージ、経済状況などに合わせて治療方針を調節していくのが実際です。
治療方針に迷った時は、“どういう方向に進むと患者さんは一番幸せか”を意識すると答えは見えてきます。バイタルサインが崩れた状況に追い込まれたとしても、“患者さんご本人・ご家族・ご友人のことを想う”と、もう少しだけ踏ん張ってベッドサイドにいることや知恵を絞ることが可能になります。クリニカル・パールとしては「膠原病を疑った時は血液培養をとる時」「諦めなければループスは改善する」「リウマチ性多発筋痛症(polymyalgia rheumatica:PMR)でふくらはぎの痛みがあれば血管炎を疑う」など診断に関するtipsはいくつかありますが、臨床の現場では治療も大切です。そこで、今回は筆者が先人から受け継いだ治療のことば、“患者さんの人生を診よう”を伝えたいと思います。
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