特集 ストーン・ウォーズ 果てしなき“石”と医師との闘い
【疾患別各論〜レアな疾患群】
❷セフトリアキソン偽胆石症
平田 理紗
1
,
多胡 雅毅
1
1佐賀大学医学部附属病院 総合診療部
キーワード:
セフトリアキソン
,
偽胆石症
,
肝機能障害
Keyword:
セフトリアキソン
,
偽胆石症
,
肝機能障害
pp.904
発行日 2024年8月15日
Published Date 2024/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1429204932
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CASE
患者:75歳、女性。
現病歴:慢性腎臓病と認知症があり、寝たきりであったため、施設に入所していた。急性腎盂腎炎で入院し、セフトリアキソン2g/日を投与された。入院時の腹部超音波検査とCT検査では、胆石、総胆管結石を認めなかった。計14日間の治療を予定していたが、第7病日の血液検査でAST 86IU/L、ALT 102IU/L、ALP 1,542IU/L、γ-GTP 216IU/Lと肝機能障害を認めた。患者に自覚症状はなく、腹部超音波検査では胆管拡張と胆嚢壁肥厚は認めなかったが、胆嚢内に胆泥と胆石を疑う高エコー領域を認めた。セフトリアキソンを中止し、アンピシリン/スルバクタムに変更して尿路感染に対する治療を完遂した。経時的に肝機能は改善し、1カ月後には胆石も消失した。入院後に胆泥と胆石が出現し、セフトリアキソンの中止後に消失したことから、「セフトリアキソン偽胆石症」と診断した。
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