特集 困ったときの漢方—この症状に役立ちます!
【総論】
❶—まずはこれを理解してみよう!—意外に簡単、漢方の基本的な考え方
下村 裕章
1
1しもむら内科クリニック
キーワード:
生薬の薬能
,
表裏寒熱
,
気血水
Keyword:
生薬の薬能
,
表裏寒熱
,
気血水
pp.377-381
発行日 2024年4月15日
Published Date 2024/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1429204747
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筆者が大学助手の時に、慢性蕁麻疹に罹患した。抗ヒスタミン薬、ステロイド薬を内服して、3カ月経っても全く治らなかった。ところが、ある漢方薬を飲んでみたところ、3日後に全く蕁麻疹は出なくなった。東洋医学の神秘を垣間見た瞬間であった。
効果があることがわかっても、当時東洋医学を知らない筆者は、漢方薬を処方することができなかった。そんな時にある漢方のコラムに出合った。そこには、「葛根湯は寒気があるかぜに用い、その組成のうち麻黄と桂皮で悪寒を治し、葛根と芍薬で首の張りを取り、甘草・大棗・生姜は胃を守る」とあった。漢方薬はブラックボックスではないのだと思った。漢方薬は生薬の薬能の足し算であり、どのような時に使えばよいのか決まっている、約束処方であることがわかった。生薬の薬能を理解し、それを運用するための漢方理論を理解することが、漢方薬処方の一番の早道なのである。
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