特集 海の外へ渡る航行者を診る—アウトバウンドにまつわるetc.
【渡航医学トピックス】
❺海外旅行と性感染症
宮里 悠佑
1,2,3
1橋本市民病院
2しらかば診療所
3プライベートケアクリニック東京
キーワード:
海外渡航は性感染症のリスク
,
性交渉歴の問診
,
薬剤耐性菌による性感染症
,
鼠径リンパ肉芽腫症
,
LGV
,
エムポックス
,
MSM
Keyword:
海外渡航は性感染症のリスク
,
性交渉歴の問診
,
薬剤耐性菌による性感染症
,
鼠径リンパ肉芽腫症
,
LGV
,
エムポックス
,
MSM
pp.1459-1462
発行日 2023年12月15日
Published Date 2023/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1429204584
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海外旅行はとても刺激的で、普段の生活とは違った非日常が体験できます。そのような体験をすると、人は気持ちが大きくなり、ハメを外してしまうようです。実に旅行者の5〜20%が不特定の相手との性交渉を経験したという研究報告があります1)。渡航後,多くの患者は自身が渡航先でそのような経験をしたことを話さず、われわれが適切に性交渉歴についての病歴聴取(column 1)をしたとしても、彼らがその行為(性交渉)をリスクと思っていなければ(もしかすると、リスクとわかっていても)答えてもらえないことがあります。渡航者が話す性交渉についての病歴はあてにならず、海外渡航歴そのものが性感染症のリスクと言ってもよいのかもしれません。
筆者は性感染症の専門外来を定期的に行っていますが、性感染症専門の外来を受診する患者は、自身に性感染症のリスクがあることを自覚していたり、実際に性感染症を疑う症状を自覚して受診することが多いです。したがって性交渉歴の聴取も行いやすく、検査前確率が高いので、診断・治療も比較的容易です。本当に難しいのは、一般内科外来を受診する患者に紛れている無症状の性感染症を見つけて治療することです。そのような患者は基本的に性感染症の心配をしていないので、性交渉歴の聴取が難しく、性感染症検査の同意も得にくいものです。
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