特集 “消去法”で考え直す「抗菌薬選択」のセオリー—広域に考え、狭域に始める
【抗菌薬選択クイズⅠ】“消去法”で絞り込む抗菌薬選択
❺皮膚・軟部組織感染症
石田 景子
1
,
荒岡 秀樹
1
1国家公務員共済組合連合会 虎の門病院 臨床感染症科
キーワード:
膿痂疹
,
丹毒
,
蜂窩織炎
,
壊死性筋膜炎
Keyword:
膿痂疹
,
丹毒
,
蜂窩織炎
,
壊死性筋膜炎
pp.794-798
発行日 2023年7月15日
Published Date 2023/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1429204358
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1|「診断」を検証して狭める!
皮膚・軟部組織感染症(skin and soft tissue infection:SSTI)は、病変の部位・深さ、および病因によって特徴づけられるため、診察の際には皮膚の解剖を想起するとよい。「膿痂疹」は表在にとどまる痂皮性・水疱性の病変であり、水疱性膿痂疹は「とびひ」とも呼ばれる。「丹毒」は真皮の浅い部分の病変であるため境界が明瞭で、隆起する鮮やかな紅斑を生じる。一方、「蜂窩織炎」は丹毒よりも深く、真皮から皮下組織の病変であるため境界が不明瞭で、境界の隆起しない紅斑と腫脹を生じる。「壊死性筋膜炎」は、皮下組織と筋膜に壊死を起こす病態であり、通常急性の経過をとる。身体のどの部位にも起きうるが、四肢に多く3分の2が下肢に起こる1)。
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