特集 “消去法”で考え直す「抗菌薬選択」のセオリー—広域に考え、狭域に始める
扉
青木 洋介
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1佐賀大学医学部附属病院 感染制御部
pp.770-771
発行日 2023年7月15日
Published Date 2023/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1429204352
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抗菌薬適正使用の実践には「適切な薬剤の選択」が重要です。
しかし、「適切な」薬剤の判断は医師ごとに異なる場合もあり、また1つの薬剤だけが正解という状況も多くはありません。
たとえば、身体に「良い」食物をあげることは難しいですが、「良くない」食物は連想できます。
(とても脂っこい、あるいは塩辛い、甘すぎる、熱すぎる食べ物でしょうか)
これらを避けることが、身体により良い物を食すことにつながるように、抗菌薬選択でも「不適切な」薬剤を避けることが、「より適切な」薬剤の使用につながります。
通常の試験問題では「正しいのはどれか?」という形式が推奨されます。
しかし実際の臨床では、“正解”がよくわからない場面もあります。
このような場合、「“不正解”あるいは“不要と判断するもの”以外から選択する」という、“消去法”のアプローチは一考の価値があります。
「ピンポイントな正解かどうかはわからないが、間違いではない」という判断を積み上げるほうが、「最適な抗菌薬を1つ選ばなければならない」と考えるより安心であり、周囲も受け入れやすいのではないでしょうか。
本特集では、初期治療薬として「必要性が低い抗菌薬はどれか?」という視点をもつことで、広域に考えつつ、より狭域で適正な抗菌薬選択を行うことを企図しました。
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