投稿 総合診療病棟
大腿静脈に限局した深部静脈血栓症の2症例—2点圧迫法の限界について
秋山 美沙子
1
,
財川 英紀
1
,
亀田 徹
2
1栃木県済生会宇都宮病院 医療技術部 臨床検査技術科 超音波検査課
2栃木県済生会宇都宮病院 超音波診断科
pp.112-114
発行日 2023年1月15日
Published Date 2023/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1429204133
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深部静脈血栓症(deep venous thrombosis:DVT)は、筋膜より深部に位置した静脈に生じた血栓症で、急性肺塞栓症の約90%は下肢のDVTに起因するとされる。検査室における下肢静脈超音波検査は、総大腿静脈から下腿静脈までの下肢全体を観察する全下肢静脈エコーが主流であり、下肢静脈の血栓をほぼすべて認識することが可能である1)。
一方、臨床医がベッドサイドで診療の一環として行う超音波検査は、POCUS(point of care ultrasonography)と呼ばれ、関連した臨床研究が数多く行われ、急性期診療において領域別のアプローチ法が見出されている。下肢静脈超音波検査におけるPOCUSでは、総大腿静脈と膝窩静脈のみを圧迫して評価する2点圧迫法が主流であり、簡便かつ短時間で近位下肢静脈の血栓を認識できるので、急性期診療において積極的に利用されている1)。しかし近年、大腿静脈に限局した血栓の存在が明らかになっているが2〜4)、われわれが知りうる限りにおいて症例報告は見当たらない。
今回、当院で施行した下肢静脈超音波検査において、2点圧迫法では認識できないと考えられる大腿静脈に限局した血栓例を経験したので報告する。
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