Editorial
“根拠なき習慣”を見直し、“価値ある検査”の選択を
髙橋 宏瑞
1
,
徳田 安春
2
1順天堂大学医学部 総合診療科
2臨床研修病院群プロジェクト 群星沖縄
pp.1077
発行日 2021年9月15日
Published Date 2021/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1429203342
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EBM(evidence-based medicine)が広く普及し、日本でもあらゆる「治療」がエビデンスをもとに行われるようになりました。しかし「検査」は、未だに根拠なく無駄に行われる傾向があります。たとえば、入院時の胸部X線や心電図検査は、研修医のうちに先輩に教え込まれ、いつの間にか、考えることなくオーダーする検査になっています。
こういった独自の常識に切り込むのが「Choosing Wisely®」です。検査技術が高まるにつれて、問診や身体診察がおざなりになり、病歴や身体所見をとる前に採血・X線・心電図を行い、少し話を聞いて、CTやMRIなどの画像検査を行う医師も少なくありません。治療はアウトカムに直結するためエビデンスが蓄積しますが、診断プロセスにおいてはまだまだEBMが不十分です。Choosing Wisely®はガイドラインではありませんが、あなたが何気なくやっている検査や治療に根拠がないことを示し、それによって起きるデメリットや経済的損失や、他の選択の可能性を提示するなど、いろいろな切り口で根拠のない習慣を炙り出します。これまでやってきた検査や治療が、むしろやらないほうがよいものだったとしたら、どうでしょう?
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