特集 新時代の「在宅医療」—先進的プラクティスと最新テクノロジー
【各論Ⅱ】各地の先進的実践事例集
「ポータブルエコー」でここまでわかる!
亀田 徹
1
1自治医科大学 臨床検査医学講座
キーワード:
在宅診療
,
ポータブルエコー
,
ポケットエコー
,
ポイントオブケアエコー
,
POCUS
,
臨床推論
Keyword:
在宅診療
,
ポータブルエコー
,
ポケットエコー
,
ポイントオブケアエコー
,
POCUS
,
臨床推論
pp.851-855
発行日 2021年7月15日
Published Date 2021/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1429203267
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Case
転倒して右胸部をぶつけた一例
患者:78歳、男性
既往歴:脳梗塞による右不全麻痺・運動性失語
現病歴:要介護2で、週1回の訪問看護を受けている。この半年で認知機能の低下が進んできた。
昼食摂取中に椅子から転倒したところを、家族に発見された。なんとか起き上がらせてベッドまで軽介助で連れていったが、体動時に顔をしかめていた。連絡を受けた看護師が訪問すると、ベッドで臥していた。顔色は良く、頻呼吸はなかった。血圧は安定、SpO2 93%(普段は94〜96%程度)、呼吸音は右が少し弱いように感じた。右側胸部に限局性の圧痛があり、皮下気腫ははっきりしなかった。
看護師が往診を依頼したところ、医師の所見も看護師のアセスメントと同様で、「右肋骨骨折」の可能性があり、「血胸」と「気胸」の除外が必要と考えられた。往診時に携帯しているポケットサイズのポータブルエコー(ポケットエコー)で評価したところ、仰臥位では左右胸腔に胸水貯留はなく、右前胸部の胸膜ライン上でlung slidingは消失(図1ⓐ)、左前胸部のlung slidingは認めた。また、右側胸部の圧痛部位に一致して肋骨表面の不連続性(ズレ)を確認した(図1ⓑ)。
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