特集 診断に役立つ! 教育で使える! フィジカル・エポニム!—身体所見に名を残すレジェンドたちの技と思考
—Valsalva手技—検査では見えないものを診る—現在も研究され続ける驚異の身体所見
原田 侑典
1
1獨協医科大学病院 総合診療科
キーワード:
Valsalva手技
,
Valsalva比
,
血圧回復時間
,
自律神経障害
Keyword:
Valsalva手技
,
Valsalva比
,
血圧回復時間
,
自律神経障害
pp.1375-1379
発行日 2020年11月15日
Published Date 2020/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1429202873
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Valsalva手技は、口と鼻を閉じて強制呼気を行う、いわゆる「息こらえ」を指し、その際に認められる血圧および心拍数の変化から、「自律神経障害」を検出できる(図11,2)・表1)。
その名の由来は、イタリアの解剖学者で外科医のAntonio Maria Valsalva(1666〜1723)である。Valsalvaは、ローマ教皇から侍医になるよう依頼されるほど臨床医として優れていただけでなく3)、解剖学者として優れた業績を残している。なかでも最大の業績は、耳を外耳・中耳・内耳の3つに分類するなど、耳の解剖・生理・病理についての知識を大幅に進展させた『De Aure Humana Tractatus』4)の出版であり、Valsalva手技も本書に記述されている。Valsalvaの弟子であったGiovanni Battista Morgagni(1682〜1771)は、「当時、彼を超える者はおらず、匹敵する者すらほとんどいなかった」と回顧する5)。
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