Editorial
「痛み」診療の光に
片岡 仁美
1
1岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 地域医療人材育成講座・総合内科
pp.373
発行日 2019年4月15日
Published Date 2019/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1429201991
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「ひとの痛みは100年我慢できてしまうからね(だからその分、医師は患者の痛みに向き合い、寄り添わないといけない)」という言葉は、研修医1年目の時に、指導医が呟いた言葉である。その言葉を、私は折に触れて思い出す。指導医は関節リウマチが専門で、多くの痛みの患者さんの診療を行っていた。「ひとの痛みを真に他人が感じることはできない。だから、患者さんが『痛い』という時には、すべてを受け止めなさい。CRPが高くない、関節が腫れていないなど、客観的所見が伴わないからといって、患者さんの「痛い」という訴えを軽んじてはいけない」という指導医の戒めは、その後医師として、目には見えないものである「痛み」に向き合う私自身の姿勢となった。
しかし、患者さんの痛みに真摯に向き合ったとしても、痛みを訴える患者さんが真に求めるのは、寄り添いだけでなく、“痛みからの解放”である。特に慢性疼痛は診断がつきにくい、治療が奏功しにくい、といったものも多い。
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