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病歴
患者:57歳、男性。
主訴:関節痛・咳嗽。
既往歴:関節リウマチ(RA)。
内服:処方薬はなし。市販薬・漢方・サプリメントもなし。
アレルギー歴:薬物・食物・喘息・花粉症・ハウスダストなど、アレルギーはなし。
嗜好歴:タバコは25〜35歳頃まで、10本/日、現在は2本/日。アルコールは機会飲酒。
家族歴:父はスキルス胃がん、祖母は卵巣がん。
現病歴:受診の5〜2年前までRAに対して、サラゾスルファピリジン(SASP)で加療していた。寛解を維持していたことから、2年前よりSASPは終了し、無治療で経過観察されていた。
●(X-18)日:全身倦怠感、38℃台の発熱が出てきた。
●(X-10)日:両膝・両肘の関節痛と乾性咳嗽が出てきた。
●(X-7)日:近医で胸部X線・CT検査を施行され、右下葉の肺炎があり、セフトリアキソン(CTRX)で4日間点滴加療された。
●(X)(当科初診)日:症状の改善に乏しく、当院を受診した。
胸部X線検査では、右下葉肺炎が残存しており(図1)、炎症反応・リウマチ因子(RF)高値を認めたことから、RAに伴う間質性肺炎(IP)、細菌性肺炎の遷延などを考え、まずは細菌性肺炎の治療を1週間追加継続する方針で、アモキシシリン・クラブラン酸塩(AMPC/CVA)で加療を行った。
●(X+7)日:関節痛が増悪し、疼痛部位も増加傾向にあった(図1)。発熱は消失していたものの、咳嗽は持続し、肺の陰影も増悪傾向にあった。RAの治療を強化する目的で、プレドニゾロン(PSL)5mg+SASP1,000mgを開始した。
●(X+17)日:上記加療開始後3日程度は、関節痛・咳嗽は改善傾向にあったものの、その後再び38℃台の発熱が出現し、悪寒・戦慄も伴うようになってきた(図1)。
肺の陰影は拡大傾向にあり、胸部CT検査(図2)・気管支肺胞洗浄(BAL)を行った。
胸部CT検査では、右肺のすりガラス陰影・浸潤影を認め、BALでリンパ球優位の細胞数上昇を認めたことから、RAに伴うIPの増悪として、(X+27)日より、PSL30mgで加療を開始した。
●(X+41)日:一時症状は軽快していたものの、この2〜3日前から息切れ・咳嗽の頻度が著明に増悪してきたということで、外来を予約外受診した。室内気で、SpO270%と酸素化不良を認め、緊急入院となった。
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