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【コラム Endocrinology in Generalist Medicine】
副腎不全を疑う時は?
大月 道夫
1
1大阪大学大学院医学系研究科内分泌・代謝内科
pp.1083
発行日 2017年8月15日
Published Date 2017/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1429201066
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「副腎不全」は、原因病変の部位により、原発性と続発性に分類される。原発性は副腎に病変があり、コルチゾール、アルドステロン、副腎アンドロゲンの欠乏を、続発性は視床下部または下垂体病変によるcorticotropin-releasing hormone(CRH)、adrenocorticotropic hormone(ACTH)の合成分泌低下により、副腎からのコルチゾール、副腎アンドロゲンの欠乏をきたすものである。つまり、原発性にのみアルドステロン欠乏症状である高K血症、コルチゾール欠乏によるネガティブフィードバックに伴うACTH過剰症状である色素沈着を認める1)。
副腎不全の症状としては、易疲労感、脱力感、消化器症状(食欲不振・悪心・嘔吐・便秘・下痢・腹痛など)、体重減少、血圧低下など、副腎不全に特徴的でないことが多く、上記症状の鑑別診断として、副腎不全を常に念頭に置く必要がある1)。近年、免疫チェックポイント阻害薬が続発性副腎不全を引き起こすことが報告されており、食欲不振、体重減少などの症状はがん進行の症状と重なるために、特に注意が必要である2)。
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