特集 ここを知りたい!頭部外傷初期対応・慢性期ケア
【場面別頭部外傷初期アプローチ】
高齢者の軽症頭部外傷への対応
北野 夕佳
1
1聖マリアンナ医科大学 横浜市西部病院救命救急センター
キーワード:
高齢者
,
軽症頭部外傷
,
失神
,
頭部CT
,
問診
,
慢性硬膜下血腫
Keyword:
高齢者
,
軽症頭部外傷
,
失神
,
頭部CT
,
問診
,
慢性硬膜下血腫
pp.635-640
発行日 2015年7月15日
Published Date 2015/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1429200278
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Case
患者:80歳,男性.自宅で転倒し頭部打撲.
現病歴:自宅で午前4時に転倒し頭部打撲.家族が心配し自家用車で救急外来へ連れてきた.昨日午前8時から本日の午前8時までがあなたの救急当直.
●シナリオ1:頭部CT撮影にまわしたところ,あなたの救急当直時間帯だけで頭部打撲でのCT撮影依頼7件目であった.「もうちょっと考えてからCT依頼したらどうなんだ?!」と放射線科指導医から怒りの電話あり.
●シナリオ2:頭部に挫創もはっきりしない程度の頭部打撲であり,頭部CTは必要ないと判断して帰宅させたところ,意識レベル低下で同日夕方,救急車で搬送された.その時に撮影された頭部CTではmidline shiftを伴う慢性硬膜下血腫を認め,同日穿頭血腫除去術となった.「朝,救急外来に連れてきた時にどうして頭部CTを撮ってくれなかったんですか?!」と家族は不満を表明している.
●シナリオ3:頭部に挫創もはっきりしない程度の頭部打撲であったが,家族が不安そうなので頭部CT撮影した.急性期頭蓋内病変は認めず帰宅とした.しかし翌々日,自宅内の階段で真後ろに転倒・転落して搬送された.頭部CTで外傷性くも膜下出血を認めた.この時の12誘導心電図でⅢ度房室ブロックを認め,それによる失神・転落外傷と判断された.あなたの救急外来受診時の記録を見返すと,看護師記録に「脈拍46」の記載あり.「一昨日に救急外来へ連れてきたのに,この不整脈は見つけてもらえなかったんでしょうか?!」と家族は不満を表明している.
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