Japanese
English
特集 膵管内乳頭腫瘍と粘液性嚢胞腫瘍の鑑別
経過観察例からみた“粘液産生膵腫瘍”の治療指針
Therapeutic Strategy for Mucin-producing Tumor of the Pancreas: Surgery or Follow-up
真口 宏介
1
,
高橋 邦幸
1
,
伊藤 英人
1
,
小山内 学
1
,
潟沼 朗生
1
,
網塚 久人
1
,
河上 洋
1
,
桜井 康雄
1
,
林 毅
1
,
三井 慎也
1
,
泉 信一
1
,
野村 昌史
1
,
吉田 晴恒
1
,
渡辺 晴司
1
,
姜 貞憲
1
,
辻 邦彦
1
Hiroyuki MAGUCHL
1
,
Kuniyuki TAKAHASHI
1
,
Hideto ITOH
1
,
Manabu OSANAI
1
,
Akio KATANUMA
1
,
Hisato AMIZUKA
1
,
Hiroshi KAWAKAMI
1
,
Yasuo SAKURAI
1
,
Tuyoshi HAYASHI
1
,
Shinya MITUI
1
,
Shinichi IZUMI
1
,
Masafumi NOMURA
1
,
Haruyuki YOSHIDA
1
,
Seiji WATANABE
1
,
Jong-Hong KANG
1
,
Kunihiko TSUJI
1
1手稲渓仁会病院消化器病センター
1Center for Gastroenterology, Teine-Keijinkai Hospital
キーワード:
粘液産生膵腫瘍
,
膵管内乳頭腫瘍
,
治療指針
,
経過観察
Keyword:
粘液産生膵腫瘍
,
膵管内乳頭腫瘍
,
治療指針
,
経過観察
pp.329-336
発行日 2001年5月15日
Published Date 2001/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1427900294
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臨床的ないわゆる“粘液産生膵腫瘍”は,病理組織学的には膵管内乳頭腺腫,膵管内乳頭腺癌(非浸潤,微小浸潤),浸潤癌に相当するが,このほか過形成と考えられる病変が多数存在する.本腫瘍は主膵管型と分枝型に分けられ,主膵管型は少ないが腺癌である率が高い医これに対し分枝型が圧倒的に多く,腺癌,腺腫,過形成のいずれも存在するため治療指針の対象の多くは分枝型になる.現状では,腺癌と腺腫の鑑別は困難であり,これらを疑う場合には手術適応,過形成を疑う場合は経過観察が妥当である.治療指針の目安としては結節状隆起径,拡張分枝径,主膵管径の3つの因子がある.浸潤癌は全腺癌中の23.3%を占めるが,全症例中では3.5%にすぎず,リンパ節転移例でも切除後27か月生存した.また,手術適応と判定したがやむを得ず経過観察となった症例の検討では,8年の経過で進展し膵実質浸潤を明らかに認めているが,自覚症状を有さず現在なお生存中の症例もあり,通常型膵癌に比べslowgrowingと言える.さらに過形成を疑って経過観察している症例の多くは長期間進展がみられていない.本腫瘍は高齢者に多く発生することをも考慮すると,明らかな浸潤所見を認めない症例には慎重な経過観察を行っていくという考え方もある.
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