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特集 膵管内乳頭腫瘍と粘液性嚢胞腫瘍の鑑別
序/粘液産生膵腫瘍―その今日的課題
Current Problems for Mucin-Producing Tumor of the Pancreas
山雄 健次
1
Kenji YAMAO
1
1愛知県がんセンター内視鏡部
1Division of Endoscopy, Aichi Caner Center Hospital
キーワード:
粘液産生膵腫瘍
,
膵管内乳頭腫瘍
,
粘液性嚢胞腫瘍
,
卵巣様間質
,
生物学的悪性度
Keyword:
粘液産生膵腫瘍
,
膵管内乳頭腫瘍
,
粘液性嚢胞腫瘍
,
卵巣様間質
,
生物学的悪性度
pp.292-294
発行日 2001年5月15日
Published Date 2001/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1427900288
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はじめに
過日,“粘液産生膵腫瘍をめぐって”というテーマで杏林大学教授の跡見裕先生と第87回日本消化器病学会総会のパネルの司会を務めさせていただいた.跡見先生とは1989年に“粘液産生膵腫瘍の診断と治療”をテーマに第37回日本消化器内視鏡学会総会の司会を務めさせていただいた記憶がある.両者を比較すると,その内容の様変わりに進歩の足跡を感じるとともに,未だ解決すべき課題の多さも実感した.
解決すべき問題の中の1つに,膵粘液性嚢胞腫瘍(mucinous cystic neoplasm: MCN,または,mucinouscystic tumor:MCT)と膵管内乳頭腫瘍(intraductalpapillary-mucinous tumor: IPMT)の異同がある.MCNは1978年にCompagno1)やHodgkinson2)が提唱した疾患概念である.一方,1980年代初頭に,高木國夫,大橋ら3)により提唱された“粘液産生膵癌”は臨床的な疾患概念であり,後に良性腫瘍が含まれることが判明し粘液産生膵腫瘍4)と呼称を変えたが,最近では病理組織学的な名称として膵管内乳頭腫瘍,またはIPMTと呼ばれることが多い.著者らも含め両者を同一の疾患単位として取り扱ったほうが適当であると考えられた時期もあったが,今日では別個の疾患概念と考えるのが一般的である.両者はともに通常型膵癌とは大いに異なるユニークな腫瘍である.ここでは序に代えて両腫瘍のもつ今日的な課題について述べる.
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