Japanese
English
症例報告
Vater乳頭部カルチノイドの1例
Carcinoid of the Ampulla of Vater:A Case Report
藤井 常志
1
,
中野 靖弘
1
,
伊澤 功
2
,
水上 裕輔
2
,
柳川 伸幸
2
,
丹野 誠志
2
,
小原 剛
2
,
高後 裕
2
Tsuneshi FUJII
1
,
Yasuhiro NAKANO
1
,
Osamu IZAWA
2
,
Yusuke MIZUKAMI
2
,
Nobuyuki YANAGAWA
2
,
Satoshi TANNO
2
,
Takeshi OBARA
2
,
Yutaka KOHGO
2
1旭川厚生病院消化器科
2旭川医科大学第三内科
1Department of Gastroenterolog, Asahikawa Kosei Hospital
2The Third Department of Internal Medicine, Asahikawa Medical College
キーワード:
Vater乳頭部カルチノイド
,
乳頭部ソマトスタチノーマ
,
内視鏡的乳頭切除術
Keyword:
Vater乳頭部カルチノイド
,
乳頭部ソマトスタチノーマ
,
内視鏡的乳頭切除術
pp.463-468
発行日 2000年7月15日
Published Date 2000/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1427900201
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患者は41歳,男性.近医の上部消化管内視鏡検査でVater乳頭部腫瘍が認められ,精査のため当科紹介入院となった.CT検査ではVater乳頭部に一致して淡く造影される腫瘤を認めた.EUS検査ではVater乳頭部に20mm大の広基性の低エコー腫瘤を認めた.十二指腸内視鏡検査ではVater乳頭部に一部発赤調で表面顆粒状の隆起性病変を認めた.ERCP検査では主膵管,総胆管に異常所見を認めず,IDUS検査では低エコー腫瘤として描出され,胆管内および膵管内への腫瘍の進展は認めなかった.低緊張性十二指腸造影検査ではVater乳頭部に径30mmの隆起性病変を認めた.以上の所見からVater乳頭部腺腫と診断し,内視鏡的乳頭切除術を施行した.切除された腫瘍の病理組織学的検討では,カルチノイドで切除断端は陰性であった.免疫組織染色ではソマトスタチンが陽性であった.Vater乳頭部ソマトスタチノーマはリンパ節転移が高率であるため,幽門輪温存膵頭十二指腸切除術を施行した.Vater乳頭部には腫瘍の遺残は認められず,13,17番にリンパ節転移を認めた.転移リンパ節での免疫組織染色でもソマトスタチンが陽性であった.Vater乳頭部のカルチノイドはリンパ節転移が高率で,基本治療方針は乳頭部癌と同様の十分なリンパ節郭清を伴う膵頭十二指腸切除が必要と考えられた.
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