講座 症候からみた腹部エコー検査のこつ
鑑別のポイントと描出のテクニック
上腹部腫瘤
西川 かおり
1
,
森 秀明
1
1杏林大学医学部第三内科
pp.537-541
発行日 2004年7月15日
Published Date 2004/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1427100313
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はじめに
腹部腫瘤とは腹部に触知された病的意義を持つ腫瘤と定義されている.実際の臨床の場では腹部腫瘤を主訴として来院する患者は1~3%と少なく,むしろ腹痛,腹部膨隆,腹部膨満感,倦怠感,発熱,食思不振,黄疸などの随伴症状により来院し,腫瘤が発見されることが多い1).腫瘤が形成される原因として,①良性腫瘍や悪性腫瘍の存在,②臓器の循環障害による腫大(うっ血),③感染による腫大などがある1).診察の際に,腹部に限局的な膨隆が認められたり腫瘤が触知された場合には,腫瘤に伴う随伴症状,腫瘤の触れる部位や性状,血液検査所見などから腹部腫瘤の原発臓器・疾患を推測し,鑑別診断を行うための検査計画を立てる必要がある.
腹部領域には多数の臓器が存在するが,本稿では上腹部に腫瘤を認め,腹部超音波検査を依頼された際の検査のポイント,鑑別診断について,肝胆道疾患を中心に解説する.
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