書評
「末梢神経障害—解剖生理から診断,治療,リハビリテーションまで」—神田 隆【編】
井上 聖啓
1
1札幌山の上病院豊倉康夫記念神経センター
pp.366
発行日 2023年4月1日
Published Date 2023/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1416202341
- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
多くの方々にとって,末梢神経と中枢神経の区別は必ずしも正確に認識されていないのではないでしょうか。私が講義などでまず学生に言うことにしているのは,末梢神経系とはシュワン細胞,結合組織が神経細胞を包囲している箇所で,一方,中枢神経系とはオリゴデンドロサイト,アストロサイトが周りにある部分と教えています。
この定義に従えば,ニューロンの中には,中枢神経系の部分もあれば,同時に末梢神経系に属する部分もあることになります。例えば第1次感覚ニューロン,第2次運動ニューロン,自律神経節前線維などはそれにあたります。末梢神経というと“末梢の部分”という先入観でうやむやにされたり,二義的にとらえられたりしがちなのは残念なことであると同時に,神経系の理解を不十分なものとするゆえんでもあります。
Copyright © 2023, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.