書評
「トップジャーナルへの掲載を叶える ケースレポート執筆法」—向川原 充,金城光代【著】
廣澤 孝信
1
1獨協医科大学・総合診療医学
pp.365
発行日 2023年4月1日
Published Date 2023/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1416202340
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臨床のベッドサイドにはさまざまな学びがあります。しかし多くの場合,日常診療の多忙さから学術的なアウトプットとしての集合知よりも,無意識も含む現場レベルの経験として蓄積される場合が多いのではないでしょうか。ケースレポート(症例報告)のエビデンスレベルは必ずしも高くはありません。また,多忙な臨床業務の合間にアウトプットとして形にするのは決して容易なことではないでしょう。しかし本書でも述べられている通り,ケースレポートには執筆を通じて疾患の理解を深め,自らの臨床能力を高められる意義があります。アクセプトされれば学びを読者と共有でき,報告した症例の重要性を再認識させてくれることでしょう。
私は,大学の総合診療科に所属する医師として,医学生から後輩,同僚までさまざまなレベルの方々の相談を受けたり指導したりする立場にあり,ケースレポートの執筆や発表もコラボレーションしてきました。こうした経験から,ケースレポートを書くための着想を得る時点から,執筆,投稿,受理までの全体の流れを示して伝える難しさを感じていました。その全体像を見事に示してくれるのが本書です。例えば,臨床経験と執筆経験を「2×2」で図式化して,執筆スケジュールを例示した図をはじめ,数々の掲載図によって,頭で漠然と考えている内容が明快に図式化・言語化されるので,とても役に立ちます。
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