書評
「—医療者のための—成功するメンタリングガイド」—徳田安春【監訳】
和足 孝之
1
1島根大学医学部附属病院卒後臨床研修センター
pp.358
発行日 2021年4月1日
Published Date 2021/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1416201768
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むさぼるように読んでしまった。一言で言うと,本気で悔しい。書籍を読んで悔しいと感じることはそうそうないが,今回ばかりは,今までの医師人生で苦労して,本気で悩んだことや,嬉しいこと悲しいこと,研修医や医学生が急激に成長して部分的に自分を超えた瞬間のアノ複雑な心境までも,これまで時間をかけてようやく感得してきた経験値(誰にも言わずにこっそり隠し持っていたもの)を完全に勝手に暴露された気がした。
メンターが行うべき実践手法や考え方,そのいちいちすべてが,自分が優れたメンターを観察して苦労して学んだこと,数多くのメンティー達と接したときに生じた悩みや,研修医や医学生が抱えていることが多い相談内容にぴったりとフィットしているのだ。何を隠そう,大学教員である自分は一時期やる気がない(ように見える?)医学生や研修医に対してすごく悩んだ。若さゆえの過ちというやつか,誰にでも公平にできるだけ丁寧なよい教育を‼ と鼻息荒く取り組んでいた。結果的に,うまくいかず苦しかった。しかしある日,原著者のDr. Chopra & Dr. Saintが発表した「メンターが心得るべき6つの事」という論文を読んで自分の考えは完全に間違っていたと悟った。その答えは本書の中にあるので,ぜひ手に取って読んでほしい。
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