書評
「緩和ケアレジデントの鉄則」—西 智弘,松本禎久,森 雅紀,山口 崇,柏木秀行【編】
佐々木 淳
1
1医療法人社団悠翔会
pp.892
発行日 2020年8月1日
Published Date 2020/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1416201615
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僕が在宅医療の世界に足を踏み入れたのは2006年のこと。
医師として9年目。急性期医療に携わりながら,自分の仕事が患者さんを幸せにしているのか悩んでいた大学院生時代,偶然に在宅医療のアルバイトに出合った。人工呼吸器とともに日々をポジティブに生きる人,残された時間が長くないことを知りながらも自分の人生を振り返りながら家族との時間をいとおしむように過ごす人,病院で診てきた「患者」とは違う,「生活者」としてのその人たちの表情を見ることができた。治らない病気や障害があっても,人生の最終段階にあっても,人は最期まで幸せに生き切ることができる。医師としての価値観を揺るがされるような衝撃だった。その半年後,大学院を退学した僕は,最初の在宅療養支援診療所を開設する。
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