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書評 「発達障害支援の実際 診療の基本から多様な困難事例への対応まで」—内山登紀夫【編】
村木 厚子
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1津田塾大学総合政策学科
pp.1405
発行日 2018年12月1日
Published Date 2018/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1416201200
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発達障害者支援法が2004年に制定された。当時,発達障害の子どもを持つ親が相談に行ける場所は少なく,また,保育園・幼稚園,小学校,中学校と環境が変わるたびに障害を説明し理解と協力を求めるといった状況であった。早期の,そして切れ目ない支援を確立すべくこの法律が制定され,その効果もあって,児童の発達障害に関する認識は急速に広がり,早期発見,早期支援の取組みも格段に進んだ。
一方で,こうした早期支援の網の目にかからずに大人になった人への対応は,いまだ研究や支援が大きく遅れている。支援が遅れたために社会適応がうまくいかないいわゆる「対応困難例」などについて取り扱う専門書は少なく,その一方で,マスメディアなどが発達障害者の関わった犯罪をセンセーショナルに報じるなど,間違った印象が一般の人々に伝えられている状況も看過できない。
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