海外文献紹介
2型糖尿病患者での厳格な血糖管理は10年後の心血管リスクを低下させる—VADTフォローアップ試験より
細井 雅之
1
,
薬師寺 洋介
1
,
上野 宏樹
1
1大阪市立総合医療センター糖尿病内分泌センター 糖尿病内科
pp.816-818
発行日 2015年10月15日
Published Date 2015/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1415200259
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本誌の2014年11月号(12巻8号)にACCORD試験(the main Action to Control Cardiovascular Risk in Diabetes trial)の続編ともいえるフォローアップの論文を取り上げました.今回は,VADT(Veterans Affairs Diabetes Trial)試験の続編ともいえるフォローアップ試験の結果です.
2009年に発表されたVADT試験は,米国で行われた大規模臨床試験です.対象は2型糖尿病治療中で,血糖コントロール不良な1,791人の退役軍人(平均年齢60.4歳,平均罹病期間11.5年,女性3%)で,血糖コントロールを無作為に強化療法群と通常療法群に割り付けられました.主要評価項目は,割り付け後初めての主要心血管疾患発症(心筋梗塞,脳卒中,心血管死,うっ血性心不全,血管疾患に対する手術,手術不能な冠動脈疾患,虚血性壊疽に対する四肢切断)でした.追跡期間は5.6年間で,主要評価項目の発症リスクや総死亡のリスクに両群間では,有意差はみられませんでした.すでに合併症を有するような罹病の長い糖尿病患者に関しては,強化療法により新たな大血管症の発症を抑制するのは困難であることが示されました.
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