Updates 2012●糖尿病学の進歩
糖尿病とED(勃起障害)
辻村 晃
1
1大阪大学大学院 医学系研究科器官制御外科学(泌尿器科)
pp.633-636
発行日 2012年11月15日
Published Date 2012/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1415101425
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はじめに
性交時に有効な勃起が得られないために満足な性交ができない状態を勃起障害(erectile dysfunction : ED)という.世界中の成人男性の5~20%が中等度ないし完全EDに相当するという報告に加え,本邦での疫学調査でも30~79歳の男性の870万人が中等度ED,260万人が完全EDと推測され,合わせると1,130万人もの男性がEDを発症していると報告されている1).したがって,EDは決して珍しい疾患ではない.最近では,生命に直結する疾患ではないものの,中高年男性のQOLを著しく低下させる疾患として,注目を集めるようになった.日本性機能学会編集による「ED診療ガイドライン」2)によれば,EDのリスクファクターとして加齢とともに高血圧,糖尿病,脂質異常,肥満などの生活習慣病があげられている(Box 1).最近では,これらの生活習慣病は合わせてメタボリックシンドロームとして扱うようになり,注目されるようになった.メタボリックシンドロームとEDの関係においては,縦断的,横断的研究が多数なされており,その密接な相関性が報告されてきた.
本稿では糖尿病とEDの関連性を解説し,同時に糖尿病性EDの治療についても触れる.
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