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特集 糖尿病診療の将来展望 10 Topics
I.治療はどこまで変わる…
経口糖尿病治療薬はこうなる―近未来における治療
Oral antidiabetes agents in the near future
中村 昭伸
1
,
寺内 康夫
1
1横浜市立大学大学院医学研究科 分子内分泌・糖尿病内科学
キーワード:
①膵島
,
②GLP-1
,
③グルコキナーゼ
Keyword:
①膵島
,
②GLP-1
,
③グルコキナーゼ
pp.581-584
発行日 2010年11月15日
Published Date 2010/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1415101109
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2型糖尿病の主な責任病変は膵β細胞?
1型糖尿病は膵β細胞の破壊的病変でインスリンの欠乏が生じることによって起こる糖尿病と定義されており,病態の主座が膵β細胞であることは明らかである.一方,2型糖尿病に関しては,とくに海外ではインスリン抵抗性が病態の中心であると理解されてきた.しかし,2型糖尿病においても常に膵β細胞機能の障害が認められることが明らかになってきた.肥満などによって生じるインスリン抵抗性に対する正常な膵β細胞の反応は,血糖値を維持するため代償性にインスリンをより多く分泌することである.この膵β細胞の代償反応が破綻すると2型糖尿病を発症する.2型糖尿病においては,正常血糖もしくは糖尿病の前段階である期間から上記のインスリン過分泌が認められる.ただ,インスリン分泌総量は増えていても血糖上昇に対する適切なインスリン分泌は障害されていて,遷延性の高インスリン血症を呈することが多い点に注意する必要がある.そして,空腹時血糖が上昇する時期以降はインスリン分泌が低下してくる.
上述したように,膵β細胞の障害は耐糖能が正常である時期から生じていると考えられる.UKPDS(United Kingdom Prospective Diabetes Study)のデータを解析すると,糖尿病発症時には膵β細胞の機能は健常者の半分程度にすでに低下しており,糖尿病発症後も経時的に低下していくと考えられる1).
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