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各国の糖尿病診療の現状をパビリオン形式で示す―第18回国際糖尿病連合会議(International Diabetes Federation Congress)(パリ,2003年8月24~29日)
野田 光彦
1
1朝日生命糖尿病研究所
pp.720
発行日 2003年11月15日
Published Date 2003/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1415100577
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ふらんすへ行きたしと思ヘども
ふらんすはあまりに遠し
と萩原朔太郎が詠んだのは,今から約70年前のことである.現代では約半日の飛行により東京からパリへと到着することを思えば,今昔の感がある.目的地パリに到着してみると,猛暑の報道が流れていた割にはピークは過ぎており,むしろ東京より過ごしやすいほどであった.3年に一度行われる国際糖尿病連合会議(IDF)は,その第18回の会合がパリで開催され,会場のPalais des congrésには8月24日から29日までの6日間にわたって多くの参加者が集まった.各シンポジウムや約300の口演をはじめ,1,000にも及ぶポスター発表など,さまざまな催しが行われ,基礎・臨床の分野で熱心な議論が繰り広げられたのである.参加者は予想を超えて多かったようで,筆者はプログラム初日の25日の午前にレジストレーションに出向いたにもかかわらず,学会用に準備されたコングレス・バッグはすでに品切れとなっていた(ついでにいえば,プログラムブックは重い割には,他の国際学会のものに比べても使い勝手が悪かった).学会場は比較的にこぢんまりとしており,ポスターは1日ごとに張り替える方式であった.
今大会を開催するに当たり,IDFは,同学会が特に力を入れていくことがらとして四つの“キーメッセージ”を提示した.すなわち,1)すべての国・地域の患者が必要にして十分なインスリンを使えるように体制を整える,2)開発段階にある人工膵島を早期に実用化する,3)2型糖尿病の原因遺伝子の探求を進める,4)運動を積極的に推進し,生活様式の改善によって2型糖尿病の発症予防に努める,である.
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