特集 インスリン治療をマスターする
Road of the Master Clinician
わが国におけるインスリン治療の歴史―平田幸正先生(東京女子医科大学糖尿病センター名誉所長)に聞く
石井 均
1
1天理よろづ相談所病院内分泌内科
pp.4-10
発行日 2004年1月15日
Published Date 2004/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1415100111
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平田幸正先生との対談
天理よろづ相談所病院内分泌内科
石井 均
糖尿病診療におけるインスリン治療の役割はますますその重要性を増しています.今回のRoad of Master Clinicianでは,日本でその発展の歴史を見てこられた先生にお話をお伺いしたいと平田幸正東京女子医科大学糖尿病センター名誉所長をご自宅にお訪ねしました.対談場所のテーブルには資料が山積みになっていました.それぞれに付箋がつけられており,話の展開に沿って各資料を見せていただきました.
資料の一番上にA5判くらいの薄い本が置かれていました.古そうでしたが,傷みもほとんどなくきれいな状態でした.それが,平川公行著「糖尿病のインスリン療法」(現代之医学社,大正13年,1924)でした.内容はインスリンの作用と注射法に関するものでしたが,その頃既にそのような実際的な本が書かれていたことにまず驚きました.さらに,それがご尊父の遺品であると伺いました.「日本語で書かれた本だったから残した」とおっしゃいましたが,何かしら不思議な力のようなものを感じました.
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