特集 インスリン治療のエキスパートになる
Master Lecture
インスリン治療から得られるエビデンスを臨床に生かす
岸川 秀樹
1
,
荒木 栄一
2
,
七里 元亮
3
1熊本大学保健センター
2熊本大学医学薬学研究部代謝内科
3生長会生活習慣病研究所
pp.332-335
発行日 2006年3月15日
Published Date 2006/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1415100094
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◆Diabetes Control and Complications Trial(DCCT)
近年,1型糖尿病および2型糖尿病患者を対象に,インスリンをはじめとする糖尿病治療薬を用いた厳格な血糖コントロールにより糖尿病性慢性血管合併症の発症,進展阻止を阻止しうることが明らかにされた.米国のDCCTは,1型糖尿病患者(1,441例)を,研究開始時に網膜症なし(一次予防)群,または網膜症あり(二次介入)群に分け,さらに,従来インスリン療法群(混合型インスリンを含む1日1~2回のインスリン注射)と強化インスリン療法群(頻回インスリン注射またはCSII)に割付け,平均6.5年の観察を行った1).強化インスリン療法群のHbA1Cは,研究開始後,従来インスリン療法群に比し明らかに低値となり,網膜症・腎症の発症進展率は,一次予防群,二次介入群ともに,強化インスリン療法群で低値となった(Box 1).一方,厳格な血糖コントロールを目指す強化インスリン療法群では,従来インスリン療法群に比し,他者の補助を必要とする重篤な低血糖症,および標準体重の120%以上となる肥満が高率となった(Box 2).
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