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宮城先生の教育回診は,毎週金曜日の朝1時間をかけて行われます.当番の研修医が症例を提示すると,病歴,身体所見,検査所見そして診断をめぐって,宮城先生のコメントをはさみながら進められます.そして最終診断の結論が出たところで,ベッドサイドに行って重要な所見を確認します.このユニークな教育回診の実際を再現します.
症例報告(1年目研修医 仲村俊介先生)
◆患者
76歳,女性.主訴は,来院当日の昼より始まった,ふるえを伴う意識障害.
既往歴:60歳のときに左乳癌,73歳のときに緑内障の手術をした.どちらの目かは,本人が覚えていないため不明.同じ頃に,脊柱管狭窄症と診断されている.手術はしていない.腰がずっと痛いという状況が続いている.75歳のときに,両目の白内障.このときに,左大腿骨頸部骨折をして,これに対しても手術を行っている.釘止め(nailing)だけで置換術はしていない.左大腿骨頸部骨折で入院しているときに,高血圧の薬を出され,この頃から治療を始めた.糖尿病,高脂血症,喘息もなし.身長144 cm,体重53 kgで,BMIが25.6と,やや肥満.そのほか病院にいって,心臓以外は問題なしと言われた.
通院歴:定期的に健康診断をしていたということはなくて,73歳に手術をするようになったときから病院に通って,そのときに全身状態を診てもらっただけで,それまでは病気らしい病気はしていない.
生活歴および家族歴:アレルギーは特になし.喫煙歴,飲酒歴なし.普段の食事は,肉より魚が多くて,あと,野菜炒め.だいたい,野菜炒めと魚とご飯とみそ汁で,三食きちんと摂っている.ADLは,大腿骨頸部骨折をしてから,車椅子でなく杖歩行で,洗面,排泄,食事は自立していて,三度の食事も自分で作られている.骨折してからは,出歩くことはなくて,ほとんど家の中で,ベッド上で生活している.海外旅行は,小学校6年生で戦争のときに,台湾に2年間ほど疎開し内地に行った以外特にない.
職業歴:70歳まで,夫が釣った魚を売っていた.夫は,いまも漁師である.
家族歴:夫と2人暮らし.子どもが6人いて,上から女・男・女・男・女・男です.子どもの方には,特に病気をもっている人はない.両親は不明.
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