総合外来
原発巣の確定に難渋した高CEA血症を伴う転移性骨腫瘍の1例
熊谷 哲也
1
,
平出 敦
1
,
山本 浩司
1
,
冨田 奈留也
1
,
笠原 彰紀
1
,
吉矢 生人
1
1大阪大学医学部附属病院総合診療部
pp.1044-1045
発行日 2001年11月15日
Published Date 2001/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414903394
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総合診療と腫瘍の原発巣の検索
原発巣の明らかでない転移性の癌は,総合診療ではしばしば経験される.このうち,転移性骨腫瘍は,頑固な疼痛,脊椎転移に伴う麻痺,病的骨折に伴う活動性の低下など,quality of lifeの点からみても,治療の手段の模索がとくに望まれる病態であることは異論のないところである.たとえば,乳癌や前立腺癌では,化学療法や内分泌療法をはじめとする集学的治療が期待される.このような癌では,転移巣はしばしば骨吸収像よりも骨硬化像を呈し,転移巣の画像の形態が原発巣の診断にヒントとなることもある.また,前立腺の特異抗原であるPSAのように,比較的臓器特異性の高い腫瘍マーカーが診断に導いてくれることもある.
しかし,本症例のように,画像的特徴に乏しい転移巣と,特異性が低い腫瘍マーカーである血中CEA値の上昇のみが手がかりであるような症例も少なくない.このような症例に対するアプローチを考える意味で,本症例は教訓的といえる.
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