JIM臨床画像コレクション
丹毒
木村 琢磨
1
,
青木 誠
1
1国立病院東京医療センター総合診療科
pp.386
発行日 2001年4月15日
Published Date 2001/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414903243
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症例は72歳,男性.第一病日より右頬部が腫脹し,第二病日,頬部の腫脹は拡大傾向であり,悪寒戦標を伴う38.8℃の発熱も出現したため当科を受診した.先行する上気道症状はない.来院時,体温39.0℃,脈拍104/分,呼吸数12/分,血圧124/77mmHg.右頬部に境界明瞭に腫脹したびまん性浮腫性紅斑(表紙写真)を認め,同部に熱感,疼痛を認めた.白血球11,600/μl CRP 2.8mg/dl,特徴的な皮膚所見により丹毒と診断し,直ちに抗生剤を開始した.
丹毒(erysipelas)は主にA群β溶血性レンサ球菌(StreptococcuS pyogenes)によるとされ,他のレンサ球菌群あるいは黄色ブドウ球菌によることもある.微小外傷や掻爬痕からの経皮感染または経気道感染であり,Dick毒素と呼ばれる発赤毒素が経リンパ管性に拡散し,リンパ管がうっ滞しリンパ腫をきたし,特徴的な発赤,腫脹を生ずる.全身あらゆる部位に生じうるとされるが,顔面,とくに頬部,眼囲,耳介および下肢に片側性に好発する.炎症による線維化でリンパ管のうっ滞が残存すると,炎症を繰り返し再発性(習慣性)丹毒となることもある.治療はペニシリンが第一選択であり,感染後に免疫反応として生じうるリウマチ熱,糸球体腎炎の防止のうえでも重要である.
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